wild rats野生ネズミに関する研究
01個体レベルの研究

ラットと野生ドブネズミは、馴染みのないもの (新奇物) に対して対照的な行動を示すことが知られています。すなわち、ラットは新奇物に近づいて積極的に探索するのに対し、野生ドブネズミは新奇物を避ける行動である新奇性恐怖を示します。
このように、新奇物という同じ刺激が正反対の行動を引き起こす神経メカニズムを解明するために、野生ドブネズミを実験室に連れてきて、さまざまな研究を進めてきました。
研究の結果、野生ドブネズミではセロトニン神経系の働きが弱いため、扁桃体という脳部位が新奇物に対して活性化してしまい、新奇性恐怖を示す、というメカニズムが考えられるようになりました。
現在は、さらに詳しい神経メカニズムの解明を進めています!
02群れレベルの研究

ドブネズミとクマネズミは世界中で害獣として知られていますが、実際にどれくらい生息していて、どのような生活をしているのかなど、彼らの生態に関する科学的なデータはほとんどありません。
そこで、日本のネズミ駆除会社や公的機関、世界中のネズミ研究者と連携し、実際の生息地にて群れレベルの研究を進めています。
街中のネズミについては、主にデータ解析を行っています。これまで、築地市場に生息するドブネズミの個体群動態や、緊急事態宣言や地球温暖化がネズミに与えた影響を解析してきました。また、街中のネズミを完全に絶滅させることは不可能であるとともに、彼らも生態系の一部を担っていることは事実です。そのため現在は、ネズミと適切な距離を保ちながら共生する方法を探っています。
牧場のネズミについては、調査や観察を中心に行っています。これまでに、全国的な生息率や、畜舎内での活動パターンを解析してきました。牧場のネズミは、豚熱や高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染性疾病を媒介すると考えられているため、畜舎での存在を許容することは難しいです。そのため、フェロモンの利用や生態学的情報に基づいた、効果的な駆除方法の開発を目指しています。
また近年、畑のネズミに関しても取り組み始めています。